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ひとり旅に出たけどいっくんとらんちゃんのせいで満喫できなかった

ひとり旅に出たけどいっくんとらんちゃんのせいで満喫できなかった

 
ここ最近煮詰まっていました。
春を目の前にして妙な焦りに駆られ、何もかもが手につかないそんな日々を送っていたのです。

そんな時はやっぱりひとり旅に限る。
そう思い立ったのが2度寝をした後の土曜日15時。

さてどこに行こうかと考えたものの、特に思い浮かばず。
とりえず小田急線に揺られ、なんとなく降りてなんとなく乗り継いで、そして到着したのが「浅草」。



目次

満開の桜と多くの人々

浅草に遊びに来るのは6年ぶり。
仕事では何度か浅草に来ているものの、あくまでそれは仕事であって、ゆっくり回るのは久しぶり。
ちょうど桜が満開になっていて、銀座線浅草駅のすぐ隣では桜まつりなるものが開かれていた。

お花見時というのもあり、多くの人で賑わっていた。
普段であれば人混みを避けるのでそんなところは通らないのだけれど、その日はなんとなくふらっと立ち寄る気分になった。
確かに満開で綺麗だった。でも、どうだろう。やっぱり散る姿が一番美しいように感じる。

はらはらと舞い落ちて行く姿に、散り際の儚さを感じるというか、一瞬の切なさを感じるというか、“時間”を感じる。なんて綺麗に表現してみたけど嘘だね。
綺麗なものはただ単純に綺麗なんだ。何かを感じているように思うのは絶対気のせい。美しい姿に感化されて綺麗事を言いたくなっているだけだ。

と、いつものように斜に構えながら、綺麗な桜並木を通り過ぎる。
でもそのうち段々と心が浄化され、気が付けば顔をこちらに向けて来る桜の花々に色々な思いを馳せながら通り過ぎた。
一通り回ったところで、途中お手洗いに寄っておこうと思い立ち寄った。そしたら便器から水が溢れていた。トイレットペーパーが散乱していた。
はーん、なるほどね、そういう感じねと現実に戻って来た。

突然の出会い

そうして旅の始まりはスタート地点へと戻った。
とりあえずいつものルーティーンをしようとコーヒーを飲みに行くことにした。

もちろん、お店はタリーズ。お店選びもルーティーンのうちだからね。
アイスコーヒーを頼み、とりあえず一服しようと喫煙室に向かった。
そしたらびっくり。喫煙室が立ち席でしかも4人入れるくらいのスペースしかなかった。
しかも中には椅子を用意して座っている仲睦まじげな先客が2人。60代くらいの男性と女性。入りづらさを感じつつも、1度機を逃したら入れないと思いそのまま入室。

窮屈さを感じつつ、すいませんと一声かけ奥の席に立つ。
そしたら一人のおばさんお姉さんが「ここいいよ!」と椅子を用意してくれた。
二人の間に。

勘弁してくれだよ。

断ることもできないので大人しく二人の間に座った。
そしてお姉さんのターン。恒例の尋問TIME。

「一人で来たの?」
はい、そうです。あ、でも待ち合わせしてるんです。(嘘)
「男?女?」
女の子です。(嘘)
「彼女?」
いえいえ、あのただの友達です。(嘘)
「何するの?」
これから飲みに行く約束してるんです。(嘘)
「絶対友達じゃないじゃん。好きなんでしょ。」
いや、あの友達ですよ。高校の同級生で。(嘘)
「じゃあずっと好きなんだ。男らしく行きなさいよ。」
そ、そうですね。ただの友達ではあるんですけど。あのそうですね!(嘘)

なんて具合に一人だと答えたら、連れ回されるんじゃないかと思い、待ち合わせをしていることにして。
男と待ち合わせしてると答えたら、付いて来るんじゃないかと思い、女の子ということにして。
嘘に嘘を重ねつつ会話をした結果、「男と女で飲みに行くと言ったら、そういうこと以外にありえないから。あんた男でしょ」というお説教を受けた。

でもね、やっぱり年の功というのはすごいなと思ったのだけど最後に聞かれたの。
「今までの嘘じゃないよね?」って。
すごいよね。

最初は警戒していたけれど、でも二人ともすごく面白い人でした。いっくんとらんちゃん。
私も結局居心地よく感じてそのまま1時間以上3人でおしゃべりをしました。
そう、ここにも花が咲いたのですね、おしゃべりというお花が。
なんて。

時間を忘れ楽しんでいたら、途中他のお客さんから「喫煙所に入れない」とクレームを受け店員さんに叱られちゃってね。
タリーズも閉店の時間になり、3人で外に出て「じゃあ僕は待ち合わせ場所に向かいます」とお別れの挨拶を。
そしたららんちゃんが「私彼女を一目見る」なんてごねだしちゃったものだから、さて困った。だって嘘なんだから。そんな人来るどころか、実在しないのだもの。

さすがに詰んだかなと思っていたら、いっくんが「それはな、余計なお節介だ。馬鹿野郎!」なんて下町感溢れる男らしいことを言ってくれたので助かりました。
ちなみに私に罪悪感は一切ありません。
一時の出会いだったけれど、楽しい時間を過ごせたことに感謝をして、二人と固い握手を交わしました。

なんだか浅草の人っぽいなと思ったでしょ。

違うんだな、これが。
二人は観光客だったのです。

結局ほとんどタリーズで過ごした浅草

そう、結局浅草まできたものの、その時間のほとんどをタリーズで過ごしたのです。
21時をすぎたらほとんどお店はしまっており、開いているのはほとんど飲み屋さん。
一人酒ができるほど、お酒は飲めないので最後に浅草寺くらいお参りしていこうと、夜の仲見世通りを通り、お参りをしました。

もちろん、願ったのはいっくんとらんちゃんの健康。

浅草は満喫できなかったけれど、気分転換にはなった気がしました。
こういう風に全然知らない人と出会って仲良くなってというのは滅多にあることじゃないですよね。
とても素敵な時間だった。

素敵な時間だったけれど、昔の人の言葉って本当に的を得てるなともすごく思いました。

「旅は道連れ」

本当に道連れもいいところよ。
まさか私が道連れにされる側になるとは思っていなかったです。

そんな浅草土曜日でした。

ライターはこの人

熊谷
『個性派ライター』のクマガヤ
1人で群馬から東京まで歩いたらどうなるんだろうと思い付き、実行する強い好奇心も持ち合わせている。

「もう書きたくない」がお決まりの言葉。
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