
昨日「君の名は」がテレビで放送されていましたね。
ご覧になりましたか。私はYoutubeを観てしまっていました。すっかり忘れてしまってました。
折角なら「君の名は」の記事を書きたかったのですが書けそうにないので、同じ新海誠監督の代表作「秒速5センチメートル」について書いていきたいと思います。
※ネタバレを含みます。
目次
遠野貴樹と篠原明里の初恋
小学校の卒業と同時に離ればなれになった、遠野貴樹と篠原明里。
そのとき、二人の間には二人だけの特別な想いが存在していた。しかし、無情にも時だけが過ぎてゆく……。そんな日々を重ねたある日、ついに貴樹は明里に会いに行くことを決意。訪れた約束の日、チラホラと舞う雪がスピードを増し、辺りを白く包んで行った……。
すごく簡単にいうと小学生から大人になるまでの貴樹と明里のストーリーです。
東京の小学校の卒業と同時に明里は栃木の中学校へと転校することになります。貴樹と明里は別々の中学校での生活を送りますが文通でお互いの距離を保ちます。
ところが中学2年生へと上がる頃に今度は貴樹が鹿児島へと転校することに。
鹿児島と栃木ではもう会える希望がなくなってしまいます。
そこで貴樹は引越しをする前に明里へ会いに学校終わりに栃木へと向かいます。寒い冬の出来事です。しかし当日、大雪のため電車は止まってしまい3時間の遅れが生じてしまうのです。
携帯も持っていない貴樹は、明里はもう待ってくれてはいないのじゃないかと絶望します。
夜も更けた頃、やっと明里と待ち合わせをしていた駅に到着します。いないかもしれないと覚悟をしながら降りると、人のいない待合室に明里が待っていてくれたのでした。
再開した二人は限られた時間の中で会えなかった分の想いを静かに寄せ合うのです。
幼いながらに両思いであった。二人にとっての初恋。
ここから、ここから物語は切ない方向へと進んでいきます。
一途が故に交わらない想い
貴樹はすごく一途なんですね。ずっと明里のことが好きです。離れ離れになってもどれだけ時間が経ってもずっと好きなんです。
しかし彼はすごく消極的で、明里にメールを送ろうとして消して、また送ろうとして消して、ということを繰り返して結局送らないままという、煮え切らない系男子でした。
高校生に上がった貴樹には彼のことを好きになってくれる花苗という女の子が現れます。花苗は貴樹が振り向いてくれるよう、距離を縮めようと健気に彼女なりの行動を起こしていきます。ですが貴樹はどこかいつも遠い方向を見ていて全然振り向いてくれません。最後には彼との縮めることの出来ない絶対的な距離感を感じ取り、告白も出来ずに終わってしまいます。
貴樹も明里へ一途で、花苗も貴樹に一途で、一途だからこそすれ違うことすらできない。
時間は過ぎて貴樹は大人になり他の女性と付き合います。ですが結局その女性へも真剣に気持ちを向けることが出来ず、「1000回にわたるメールのやり取りをしたとしても、心は1センチほどしか近づけなかった」と最後に伝えられてしまいます。
貴樹は大人になっても初恋相手の明里のことをずっとどこか想い続けているんですね。
大人になった明里はというと、明里も貴樹へとずっと想いを馳せていたのですが叶わないと諦めて別の男性と結婚します。明里もずっと待っていたのですが貴樹とのすれ違いの末、諦めざるを得なくなるのです。
しょうがない。まあそうなりますよね。普通。
貴樹は結局、明里への想いを引きずり過ぎたために誰とも結ばれることは無くストーリーは終わりを迎えます。
どれだけ相手を想っても行動をしなければ結ばれない。運がなければ結ばれない。一途な気持ちというのは素敵ですが時に自分を残酷な運命へと引きずり込んでしまう、諸刃の剣なのかもしれません。
両毛線のカボチャ列車
群馬県民、栃木県民には馴染みのあるオレンジと緑色の両毛線の車両が出てきます。
序盤の貴樹が明里の済む栃木へ向かう途中の電車です。大雪で2時間も止まってしまう車両が両毛線のカボチャ列車です。
こんなとこで止まってる場合じゃないんだよ、両毛線!と、観客の心を人動かす良い仕事をしてくれます。
印象に残るシーンなので何だか嬉しいですよね。
もう全然ストーリーと関係ない話をしちゃいますが私は両毛線のカボチャ電車も好きですが、高崎から乗る高麗川行きの八高線のワンマンカーが好きです。
あのドコドコと走りながら、ゆっくり時間が流れていく田舎感がたまらない。しかもディーゼルカーなので電気じゃないんですね。電線と繋がってないんです。
乗り方も不思議で無人駅から乗る場合は乗車時に車内の発券機から整理券を受け取るんです。車内の電光掲示板に料金が表示されていて、バスみたいな乗り方をします。都会じゃ考えられませんよね。田舎ならではの列車です。
ということで今回は新海誠監督の「秒速5センチメントール」を紹介させていただいました。
ずっと一途が故に誰とも結ばれない男の子のなんだか悲しいストーリーと、とても繊細で綺麗な映像のギャップがたまらなく新海感ですね。
ただ絶賛片思い中の方は観ないほうがいいかもしれません。
私はね、でもこういう実らなかったストーリーを観るとすごく安心するんですね。