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僕たちは、普段ゴミを着て過ごしているのかもしれない

僕たちは、普段ゴミを着て過ごしているのかもしれない

「高級店に買いにくる客はほとんど価値なんか分かってないから」

その言葉を放った彼は年齢に似つかわしくないイケイケおじさんだった。

昼下がり、騒然と建ち並ぶビルと高級な香りが漂う街中、僕とクマガヤ(ばかにゅー編集者)は仕事の打ち合わせのため、近くのドトールに入店した。
僕たちはお互いに喫煙者でアイコスを愛用しているので、必然的に喫煙席へと足を運んでいく。
席に着いた途端、違和感を覚えたのは場所と時間に似つかわしくないイケイケな男性3人の存在だ、あえて別の表現をするのであれば偽EXILEといったところか。
彼らの存在がこんな結末に導くなんて、その時の僕は考えもしなかった…



異様な存在感を放つ3人

僕たちは会話を交わしながらも、隣の存在が気になっている事を認識しあっていた。
そして隣の会話が聞こえてくる。
「まぁ、でも今日は勉強になっただろ?」
それは、3人の中でも一回り以上は年齢が高いであろう男性(以下、おじイケさん)が、そう切りだした。
その言葉に反応したのは、年齢は20代前半であろう2人のうち、僕の席からは顔が見えない方の男性(以下、元気くん)が張りのある声で「はい!」とすぐさま答える。

なんだか、だんだんと関係性が見えてくるな…僕たちの聞き耳はさらに彼らの方へと向いていく(というか大声で話しているので嫌でも聞こえる)。

その流れで、おじイケさんは最後のひとり(以下、マジイケくん)に同意を求める様子で、そう思うだろと問いかけを重ねるとマジイケくんは
「あ、はい、そうっすね」
と少し素っ気ない返事をした。

いつの間にか彼らの話に集中していたせいで、持ち上げたコーヒーカップの中身は座って間もないと言うのに空になっていた。
ただ単に僕の飲み過ぎだと言う反論については断じて認めない。

意識は完全に隣の席へ

彼らの話は留まる様子もなく、マジイケくんの素っ気ない態度にもおじイケさんは特に気にせず話を続けていく。
「だろ?それでどうだった、高級店は」
おそらく視察だろう、社員教育の一環で高級店へと従業員を視察に行かせて、レポートを提出させるといった方法を取っている会社があると聞いたことがある。

その質問に仕方がなさそうにマジイケくんが感想を述べていくと、それをほとんど聞き流している様子のおじイケさんは待ちきれずに言葉を挟む
「高級店に買いにくる客はほとんど価値なんか分かってないから」
おいおい、質問をしておいて聞く耳もないのかと僕はウンザリしながらも、恐らく会話の流れや服装から、彼らがアパレル関連の会社員なのであろう、などと予測を建てる。
それにしても、おじイケさんは高級店で買い物をしている人をどんな目で見ているのだろう、他人の価値観にケチをつける前に自身の薄い言葉と頭に目を向けるべきではないだろうか。
しかし、まくし立てるように続くおじイケさんの声が大きすぎて、どうしても意識はまた彼らへと向いていく。

そして会話の向かう先は…

「あとあれだ、安い服とかあるだろ、例えばユニクロとか」

ユニクロか、僕の仕事着は9割ユニクロで揃えている、耐久性と価格のバランスを考えたときにシンプルなデザインの多いユニクロは、仕事着を選ぶのに最も適しているというのが僕の結論だ。

あれはな、ゴミだよゴミ

え、今なんて言いました?もし僕の聞き間違えでなければ、僕の全身に纏う衣類を”ゴミ”とおっしゃっていたような…

その後も特に元気くんに向かって雄弁とイケおじさんは持論を述べていたが、マジイケくんのスマホに鳴り込んだ恐らくクライアントからの連絡を機に店外へと去っていった。

ああ…そうか、僕はゴミを着ていたのか…

おじイケさんよ、偉そうに他社の服を”ゴミ”呼ばわりするよりも、後輩に伝えなければいけないことが他にあるのではないでしょうか。

そんな事を僕は思いながら、クマガヤとの打ち合わせへと意識を戻していった。

photo モデル ばかにゅー編集部「どすえ」

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