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4年前振られた私が安らぎを求めに「熊谷の失恋トリップ」サンライズ茨城編

4年前振られた私が安らぎを求めに「熊谷の失恋トリップ」サンライズ茨城編

4年前の第二次恋愛大戦に敗北した熊谷は、大きな傷を負い、嫉みの塊と化していた。
そんな彼を救ったのがこのサイトを運営する“バカニュー編集部”。
企画と題し、彼の心を浄化するための恋愛リハビリが始まったのだった。

Lost Love Trip
英語で書くとかっこいいでしょ。



え?失恋?したことないよ。都市伝説だと思ってた。

……そう言える人生でありたかった。
さて、まずは私の失恋ヒストリーについて振り返らなければならない。

4年前、当時フリーターだった私は年上の恋人がいた。
ある日、彼女から「結婚を考えている」という言葉を受け、これはまずい、グータラしている場合ではないと心を一新して就職活動に専念することに。

学校を卒業してからというもの、私にはあるトラウマがあり正社員という形で働くことを拒んでいた。
ずっとフリーターでいいやと早々に半ば人生を諦めていた男が、そんなトラウマを乗り越え、就職というまともな道に歩み始めたのだ。
愛という力は偉大である。

綺麗すぎるスーツを盾に、傷だらけの履歴書を剣にして、ハローワークというギルドに参加した。
ギルドの方々は意外にも心優しい方が多く、支援のもと無事内定をもらうことができた。
その3日後、彼女を食事に誘い、内定の報告をした。

「遅くなってごめん。無事、正社員としての採用が決定しました。これから心新たに頑張っていこうと思います!」
「あっ、おめでとう(笑)頑張ってね。私も応援してる。でね、話は変わるんだけどさ、別れたいと思ってるんだ!」
「……?」

そう、報告したその日に、驚く程ライトな感じでいきなり振られてしまったのだ。

100kmマラソンをようやくの思いで完走して、感動のフィナーレを迎えられると思っていたら、
まさかのゴールテープの後ろには落とし穴が仕掛けられていて、
テッテーレの効果音とともに「100kmマラソンはドッキリでしたー!」と種明かしをされたような。

ドッキリじゃないよ!事実だよ!とMEGWIN並みのツッコミぶち込むべきだったのだが、変なところで格好つけてしまうのが私の悪いところ。
意図しないままにすんなり了承をした。

「……?」
「オッケー、なるほどね。なるほど、わかった!残念だけど全然いいよ!」

職場の後輩にいきなり誘った飲みを断られたかのような自然な立ち振る舞い。
1週間こたつの中に引きこもった。

それからなんだかんだ2年くらい本気で引きずった。それから更に1年くらい冗談程度に引きずった。
4年が経った今、さすがに引きずってはいないけれど、傷が癒えているわけでもない。古傷程度に残っている。
この4年間じっと何もしないで傷が癒えることを待っていた。

再生することをひたすら宇宙で待ち続けるかつてのフリーザのように。

そしてそんなフリーザにコルド大王が手を差し伸べたように、
私のところにもバカニュー編集部から救いの手が差し伸べられたのだ。

茨城様の元へ癒しを求めに旅立つ。

編集長はこう言った。
「失恋の時こそ旅すべしじゃん?第一の修行として思い出の地を巡って、感傷に浸るなんてどうよ。まじ特効薬でしょ。汝、即刻茨城行くべし。そして記事にするべし。まじ。」
「み、御心のままに。」

そうして私はとある休日、車を走らせ茨城へと向かった。
向かう場所は大洗。特に思い出のある土地ではないのだけれど。
そもそも茨城自体に行った覚えはないのだけれど。

大洗を選んだ理由は単純に、地名的に心が洗われそうだったからだ。それだけで選んだのだけれど、どうやら大洗には水族館やら大型ショッピングモールがあるらしい。
それと一番のメインスポットは大洗海岸。夏になると海水浴客でいっぱいになるとのこと。

季節外れも甚だしい。

回遊する魚と場に浮く成人男性

車を走らせること3時間近く。
そして到着。大洗水族館。
一人で。一人で来た。焼肉すらデビューしてないのに水族館に。

少しでも臆すると帰りたくなってしまうので、何も考えず無心で入場券を買い、そして入場した。
早い時間ということもあってお客さんは思ったよりも多くはなかった。
家族連れに紛れ、学生のカップルなんかもちらほらいた。

そんなお客さんたちの中に若い男が一人。
手ぶらで一人。

「こいつ、何?一人で水族館に来て?感傷に浸る的な?邦画の見過ぎだろ。」とか思われるのではないかと、
私は“水族館という施設を研究をしている人間”を演じることにした。
ああ、このアクリルガラスは立派だなとか。照明はこういう角度で当てているのかあとか。

一人であっさり過ぎていくのは、恋人とはぐれた人に見られるようで恥ずかしい。
かといって、じっくり見て回るのも、魚好きな人に見られるようでそれはそれで恥ずかしい。
だから水族館という施設を研究して歩いているという体で歩いたのだ。程良く見て、程良いペースで周る。そして時折アクリルガラスを撮影するという徹底ぶり。

不審がる人はいなかった。というか人は案外人を見ていないものなのかもしれないと途中で気が付いた。
気が付いたものの、途中で演技を止めるわけにはいかず、研究者の体で水族館を楽しんだ。

ぐるぐると水族館を回っていたら、魚の群れが現れた。
テレビで誰かがイワシの大群を見ると泣けてくると言っていた。
それを見たときは「は?何言ってんだコイツ」と思っていたが、少し共感してしまった。
流れるままに、自然体であることの素晴らしさ。
私が謎の研究者を装っている不自然さ。

旅は道連れ、世は情け

一人で来る水族館というものがこんなに疲れるものだとは知らなかった。
そもそも休日は家で過ごしたいというのが私の一番の思いであって、もともとインドアな人間なのだ。
一体、私は何のためにこんな遠いところまで来たんだっけ。
失恋の傷を癒すなんて目的はすっかり忘れていたし、その為の行動とは程遠いことをやっていた気がした。

とりあえずお腹も減って来た頃だしと私は飯を食べに出た。
本当はコンビニ弁当でもいいのだけれど、そうすると人間性を疑われかねないと思ったのできちんと海鮮丼を食べた。

イクラとウニが乗った贅沢海鮮丼。味音痴な私でもウニだけは違いがわかる。
回転寿司なんかで食べるとどうしても苦味がきついが、やっぱり海の近くとあり新鮮なだけに、独特の苦味も少なく、しっかりと濃厚で甘いウニであった。

そんな贅沢品を食べ終えた私は、せっかくならと海岸まで歩いた。久しぶりに目にする海だ。
内陸県出身の私にとって、海というものは無条件にワクワクするものだ。
しかしその日は非常に寒く、海に感動するための余裕が生まれなかった。
ドアtoドアだからと薄着できたのが間違いだった。

5分もしないうちに車へ戻った。

中途半端な行動をしているうちに、色々と煮えきらない思いを感じた私は、ついに家に帰りたい病を発症してしまった。
家に帰りたい病にかかってしまった私の行動はとても早い。

本来ならばマリンタワーの展望台を登るとか、ショッピングモールを見て回るとか、地元の人と触れ合うとか色々やる予定だったのだが、
何の未練も残していないかのごとく、圧倒的な早さで帰路についた。

7時半頃家を出発。10時手前に水族館へ入館。11時半頃に退館。12時手前にお昼。12時20分には海へ行き、5分後車に戻る。
思ったよりも早い帰宅となってしまった。
色々やることをスルーしてしまい、記事無理だなと思ったが、賢い私は大人の対処法「水増し術」を活用することにした。
“行ったことにすればいい”のだ。

週明け後、編集長に内容を報告したら、
「それで君が満足するならね?」と圧倒的却下を受けたので仕方なく、本当のことを書くこととなった。

決して傷は癒えていないし、大して観光スポットにも周れていない。
2時間半かけて大洗まで行って2時間半で帰った。非常に効率的な旅でございました。

確かに少ない時間ではあったけど、一人で水族館へ行き、海鮮丼を食べて、海も見た。
家に引きこもってばかりの私からしたら、これは今後の人生を揺るがすほどの大きな前進であったと思う。
反省どころかよくやったと褒めてあげたい。

……ん?褒めてあげたい?
自分を褒めてあげたいだなんて何年振りに思ったことだろう。
なんだか少し心が軽くなった気がするぞ。
まさかこれが失恋の傷を癒す1歩目だというのか。これも計算の内ということなのだろうか。
そうだとしたらおそるべし編集長である。
彼のいうことを聞いていれば新しい恋へと進めるようになるかもしれない。

ということで第一弾はここまで。
熊谷の4年越し失恋旅はまだまだ続く……

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